リンデル・儘盟・グンナル

ストックホルム, スウェーデン

 

1985年にはじめて来日し、その後尺八を始める。のちに、旧 山口五郎師(人間国宝)に師事、琴古流尺八を学ぶ。

1993年に日本文部科学省の奨学金を得て、東京藝術大学にて尺八専攻で研究を進め、1995年修士課程入試に合格し、1997年修士号を取得。 1998年、「ボルダー国際尺八フェスティバル」の実行委員を務める。同年、山口師に「儘盟」という竹号を与えられ、琴古流尺八師範となる。

その後、日本国内外にて演奏や指導の活動を広げる。2005年、母国のスウェーデンへ帰国、スウェーデン国立ストックホルム大学に勤務。2012年には同大学日本学科にて日本学の博士号を取得。現在は同大学で准教授として日本語や日本文化を教え、また日本の伝統音楽・文化を研究する。
主な研究テーマは、日本古典音楽における「型」や尺八本曲の「節」(音句また音型)の在り方の分析である。脱構築論に基づいて、地歌箏曲の歌詞の内容とコンテクストを分析する。
大学勤務のかたわら、ヨーロッパ各地で尺八のワークショップを開き、またオーケストラと尺八の楽曲でソリストとして演奏するなど、尺八の演奏及び指導活動を勢力的に続ける。

2006年に設立された「ヨーロッパ尺八協会」(ESS) では顧問を務めるほか、尺八の国際的フェスティバルやサマースクールの実行委員でもある。

2016年(平成28年度)には、それまでの尺八および学問の活動が評価され、日本国外務大臣表彰を受賞。「外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し、我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている中で、特に顕著な功績のあった個人および団体について、その功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的としています。」

1999年、琴古流尺八本曲の指南ビデオを(ブルース・ヒューバナーとの共作)、また、CD「和」シリーズとして、2000年に『絵夢』、2001年に『吟游』の2枚を発表。2011年には、CD3枚を含む琴古流尺八本曲の教本 (Notes on Kinko-ryū Shakuhachi Honkyoku)を、また2011年には博士論文 (Deconstructing Tradition in Japanese Music: Historical Authenticity and Transmission of Tradition) (日本音楽における「伝統」の脱構築—尺八の研究:歴史的真正性と伝統の伝承)を出版。(博士論文はデジタル版も からダウンロード可)。
現在は、地歌箏曲の歌詞研究のほか、本曲13局を含むNotes on Kinko-ryū Shakuhachi Honkyokuの2作目を制作中。


写真: Jean-François Lagrost